「ごめんね、SUMMER」歌詞解釈

毎週日曜日の24:00~

向井地美音さんがパーソナリティを務めるラジオ番組に

AKB48 2029ラジオ〜10年後の君へ〜』NIPPON放送がある

 

2019年12月22日(日) 夜の放送で秋元康カルタなる企画がオンエアされた

その2文字目で「ごめんね、SUMMER」の一文が紹介されたのだが

なかなか面白いので自分なりに解釈を深めてみることにした。

 

 

ごめんね、SUMMER」歌詞

歌:SKE48
歌詞:秋元康
作曲:俊龍

 

君は防波堤で
膝を抱えて
近づいた波を
数えてた
僕はその隣りで
邪魔するように
わざと話しかけたら
肩をぶたれた

真っ青な海は
愛しさに似てるよ
永遠のその意味を
教えてくれるもの

ごめんね、SUMMER
眩しい
その横顔を
見てたら
ハートにそっと
触れたくなった
僕のいたずら
ごめんね、SUMMER
この恋
友達なのに
切ない
潮風だけが
ずっと前から
君に吹いてる
ごめんね、SUMMER

白いかもめたちが
空を回って
早く告れよと
囃すけど
僕はおどけながら
スニーカーを脱いで
ふいに逃げ出すように
全力で走る

弾んでる息と
ときめきが苦しい
さざ波を数えても
どうにもキリがない

このまま SUMMER
2人に
照りつけている
太陽
想いはずっと
続くのだろう
何があっても…

このまま SUMMER
遥かな
水平線の彼方へ
僕は1人で
足跡つける
好きと言えずに
このまま SUMMER

真っ白な砂は
正直な気持ちさ
度が過ぎた愛しさを
あやまろうと思う

ごめんね、SUMMER
眩しい
その横顔を
見てたら
ハートにそっと
触れたくなった
僕のいたずら
ごめんね、SUMMER
この恋
友達なのに
切ない
潮風だけが
ずっと前から
君に吹いてる
ごめんね、SUMMER

 


2010/7/7 on sale 3rd.Single「ごめんね、SUMMER」Music Video

 

 

大枠としては、海辺にいる男女

男性の視点で女性への好意が語られている

好きだけど関係性は友達で告白はできなかったらしい

 

 

二人が置かれている状況と、比喩を整理する

 

二人は防波堤に座っている、「僕」は話しかけ肩をぶたれスニーカーを脱いで砂浜を走って行く。

行動の描写としてはここまでである

 

例えとして表現されているものが二つ

真っ青な海→愛しさ

真っ白な砂→正直さ

他に波、潮風、白いかもめ、太陽などが登場している

 

これらを複合して考えて私の結論は以下である。

 

 

 

まず、太陽が照りつけているのに「君」は「膝を抱えて近づいた波を数えて」いる

明るい曲調なのでこれまで思いつかなかったが、女性は失恋かもしくはそれに近い悩みを持っている状況なのではないかと考えた

波は海から運ばれてくるものだ、永遠の愛しさを湛える海からヒントをもらおうと「君」は波を数えているのではないだろうか

 

 

そんな「君」の横顔を眩しく感じた「僕」はときめいてしまい

「ハートにそっと触れたくなっ」て、「邪魔するように話しかけたら肩をぶたれた」のだ

 

「度が過ぎた愛しさをあやまろうと思う ごめんね、SUMMER」という歌詞は

この「僕のいたずら」のことを言っているのだと思う

きっと女性が思い悩む部分を茶化すようにいたずらっぽく、しかしハートに触れるほど踏み込んで表現したんじゃないかなあ

ヘタこいたなあ

 

 

早く告れよと囃す「白いかもめ」の白さは、砂と同様、正直さの化身である

本当は告白したいのだ

タイミングはそこしかなかった——肩はぶたれたけど——

 

 

しかし「僕」はたまらず「おどけながら」防波堤から砂浜の方へ「逃げ出すように全力で走」っていく

「君」が愛に近づこうと波を数えるのと対照的に

「僕」はさざ波を数えることに意味を見出せていない、つまり恋が実る芽が無いと思っている

 

 

二人は友達であり女性は隣にいる「僕」のことを恋愛対象としては見ていない

状況は変えられない

友達なのだからハートに触れることは度が過ぎた行為である

謝らなければならない。

そして僕は悟ったのだ

 

『想いはずっと続くのだろう 何があっても…』

 

 

 

『遥かな水平線の彼方へ僕は1人で足跡つける』

砂浜に足跡をつけるのは、正直さを踏みにじって告白をしない決意を表している

また、ここで注目したいのは足跡をつけていくのに“地平線”の彼方ではなく“水平線”の彼方へ向かっていることだ

地平線は陸地が形成するので歩いて行けるが、水平線は海が作るので歩いては行けない

防波堤から見て砂浜が湾のようになっていれば回り込んだ奥へ行くことで矛盾しないのかもしれないが、そこは比喩の世界である、きっとそうじゃない——

 

水平線の彼方には海がある、永遠の愛しさがあるのだ。

僕は自分に嘘をついて告白をせず、永遠の愛しさを君に持ち続けようとしている

 

 

 

『切ない潮風だけがずっと前から君に吹いてる』

 

水平線の彼方から届く「潮風」は彼の愛しさそのものだ

 

『好きと言えずに このまま SUMMER』

 

彼の愛しさは変わらない

 

照りつける太陽も、真っ青な海も、君にずっと吹いている潮風も、

全てが夏のままのように——

 

 

 

ごめんね、SUMMER」は

変えられない状況を変わらなくていいと受容した、切なくも誇らしげな彼の矜持が詰まった一曲だった